2010年12月14日火曜日

アメリカ民衆の怒りの爆発の予兆〜ジョセフ・スタックの自殺宣言から - 知足自愛

ジョセフ・スタックの自殺宣言

「いまこの文書を読んでいる人々はなぜこんなこと
が起こったのかと自問自答していることだろう。答
えは、これには複雑な背景があり、長い間かけて出
した結論なのだということだ。この文書はすでに何
カ月も前から書き始めていた。私は、自分の病んだ
精神を治療する目的で文書を書くことにした。もち
ろん、この文書にはいかに世の中が腐っているのか
証明する膨大な数の例が出てくるはずだ。しかし、
私の頭は怒りで爆発しそうになり、洗練された文章
で考えを述べることができなくなったため、私にと
って文書を書くという行為は退屈でいらいらさせる
ものであった。文書を書くという行為に治療効果が
あるのかどうかは分からない。ただ、必死なときに
は同じく必死な手段が必要なのだ。

子供のころからわれわれは、法による統治がなくな
ったら、無政府状態となり社会は存在しなくなると
教えられてきた。悲しいことに、一人一人が国家の
ために献身するならば、国家は万民の正義の守護者
となってくれるはずだとわれわれは信じ込まされて
きた。さらにわれわれは、この国には自由があり、
そうした建国の父が作った原理と原則は命をかけて
も守る抜くべきだと洗脳されてきた。みなさんは覚
えているだろうか。そのうちのひとつは「代表権な
しの徴税はない」という原則だ。大人になってから
の私は、これらの原則がまったくのゴミであること
を学びなおすはめになった。現在では、このような
原則の擁護に立ち上がるものたちは、気が触れたか、
裏切りものとしてのレッテルが張られることだろう。

私のような働く人々で、払った税金の見返りにあづ
かったといえる人は一人もいないだろう。私の人生
で、私のような働く人々の利益を代弁して議会で投
票した政治家は一人も見たことがない。これは確信
をもって言えることだ。政治家は、私のような働く
人々の声を聞くことにはまったく関心がないのだ。

なぜ一握りの貪欲な略奪者たちがこれほどの非道を
続けられるのだろうか。そして彼らの乗った強欲な
列車は、いつ彼ら自身の犯したばかな間違いの重み
に耐えられなくなりつぶれるのだろうか。だが、そ
うだとしても、連邦政府は即刻彼らの救済に乗り出
すことだろう。そして、製薬会社や保険会社を含む
アメリカ医療保険システムという冗談がある。彼ら
は、毎年何十万人もの人々を殺し、彼らのおかげで
障害をおった人々の屍から金を盗み取っている。し
かし、この国の指導者は、(金融業者のような)自
分たちの金持ちの仲間を救済するが、(われわれの
ような普通に働く人々を)気にかけることもない。
そして議会の政治家ども(盗っ人、嘘つき、自己中
心的なゴミども)は、医療保険の問題がいかにひど
いか、それこそ何年も何年も議会で討論しているだ
けなのである。彼らにとって、企業の利益が流れ込
む邪魔を死人がしない限り、なんの危機も感じない
のである。

そして正義だと?冗談もやめてくれ!

また、アメリカの税のシステムや法体系に潜む巨大
ななぞをどうやったら合理的な人間が説明できるの
か?現在のシステムはあまりに複雑で、最高の学者
でも理解することができないはずだ。しかし、すべ
ての人が専門家にも理解できない法を順守すべきだ
とし、無慈悲にも被害者に責任を負わせるのだ。税
の申告書の最後に署名をしなければならないが、自
分が何に署名しているのか分かっている人はほとん
どないはずだ。税の徴収ほど強制力のあるものはな
い。これこそ全体主義以外のなにものでもない」

この後、自分の生い立ちやエンジニアとしての職歴
を詳しく述べた後、自分たちのような中産階級の一
般市民がいかに内国歳入庁や大企業、そして政治家
に収奪されているのか詳しく説明し、アメリカ人の
覚醒を強く促す宣言を行う。

「私は大恐慌のとき、裕福な銀行家が全財産をすっ
てしまったことを知り、ビルの窓から飛び降り自殺
をした話を思い出した。しかし60年後、金融業者
はこの問題の解決策を見いだしたのだ。それは政治
的に何の発言権もたない中産階級から彼らの資産を
盗み、自分たちの損失を埋め合わせることだった。
要するに、金持ちが犯した間違いの尻拭いをすべて
貧乏人にさせるというわけだ。

アメリカ連邦航空局は墓石(無用の長物)のような
機関であるといわれる。だが、ブッシュ前大統領と
彼の率いる一味が支配した8年間で、すべての政府
機関が墓石のような状態になっている。死者が出な
い限り、なにも変わることなどないのだ。政府組織
は下から上まで偽善で満たされており、彼らは自分
たちがつくウソと同じくらいに安っぽい存在に成り
下がった。

堪忍袋の尾が切れたのは私が最初ではない。人々は
自由のためには自らの命は捧げなくなったといわれ
るがそれはそうではない。黒人や貧乏な白人以外で
も命を捧げる人間はいるのだ。私の前にはそうしや
人々が大勢いたことだろうし、私の後に続く人々も
きっと多いことだろう。しかし、私の命を捧げるこ
となくして、現状はなにも変わらないことだけは確
かである。私は、政府が私の人生を引きちぎるのを
ただ眺めていることを止めると決意したのだ。また、
私の周囲で起こっていることを無視しないと決意し
たのだ。そして、かならず大きな変革が起こるなど
という幻想は信じないことにしたのだ。もうたくさ
んだ。

いまゾンビーのような状態になっている多くのアメ
リカ人が覚醒して反乱を起こし、その数が当局が無
視できないほど大きくなることを私は期待する。私
のこの行動が二枚舌の当局を刺激し、彼らがより厳
しい規制を加えることで、傲慢な政治家の実態が暴
かれることを真に望む。私はこれまでの人生で、暴
力は何の解決にもならないと信じようとしてきた。
しかし、暴力こそ唯一の解決策なのだ。この国を支
配するトップエリートはこのことをずっと知ってお
り、これまで私のようなバカを騙し続けてきたのだ。

一度、精神錯乱の定義を読んだことがある。それは、
同じ行動を何度も繰り返しながらも、結果が異なる
ことを望むことだとあった。私はやっとこうした錯
乱状態に終止符を打つ決心をした。当局や内国歳入
庁のみなさん、私の肉の塊を受け取り、よく眠って
ください。

共産主義者の信条:各人の能力に応じて献身し、各
人の必要に応じて与えよ。

資本主義者の信条:各人の騙されやすさに応じて献
身し、各人の貪欲に応じて与えよ。

ジョー・スタック(1956年~2010年)」

以上である。

いまアメリカでは、一方では、多くの人々が失職し
たあげくに住宅を差し押さえられるという大変な苦
難を経験しながらも、他方では、ゴールドマンサッ
クスやAIGなど、政府が巨額の税金で救済した金
融機関が巨額な利益を上げ、管理職が途方もない額
のボーナスを得るという状況が続いている。「ジョ
セフ・スタックの自殺宣言」は、こうした状況に憤
った多くの一般のアメリカ人の怒りを代弁した内容
になっている。

「魂が身体に宿るのではない。身体が魂に包まれるのだ。」(ニール・ドナルド・ウォルシュ)

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