ジョセフ・スタックの自殺宣言「いまこの文書を読んでいる人々はなぜこんなことが起こったのかと自問自答していることだろう。答えは、これには複雑な背景があり、長い間かけて出した結論なのだということだ。この文書はすでに何カ月も前から書き始めていた。私は、自分の病んだ精神を治療する目的で文書を書くことにした。もちろん、この文書にはいかに世の中が腐っているのか証明する膨大な数の例が出てくるはずだ。しかし、私の頭は怒りで爆発しそうになり、洗練された文章で考えを述べることができなくなったため、私にとって文書を書くという行為は退屈でいらいらさせるものであった。文書を書くという行為に治療効果があるのかどうかは分からない。ただ、必死なときには同じく必死な手段が必要なのだ。子供のころからわれわれは、法による統治がなくなったら、無政府状態となり社会は存在しなくなると教えられてきた。悲しいことに、一人一人が国家のために献身するならば、国家は万民の正義の守護者となってくれるはずだとわれわれは信じ込まされてきた。さらにわれわれは、この国には自由があり、そうした建国の父が作った原理と原則は命をかけても守る抜くべきだと洗脳されてきた。みなさんは覚えているだろうか。そのうちのひとつは「代表権なしの徴税はない」という原則だ。大人になってからの私は、これらの原則がまったくのゴミであることを学びなおすはめになった。現在では、このような原則の擁護に立ち上がるものたちは、気が触れたか、裏切りものとしてのレッテルが張られることだろう。私のような働く人々で、払った税金の見返りにあづかったといえる人は一人もいないだろう。私の人生で、私のような働く人々の利益を代弁して議会で投票した政治家は一人も見たことがない。これは確信をもって言えることだ。政治家は、私のような働く人々の声を聞くことにはまったく関心がないのだ。なぜ一握りの貪欲な略奪者たちがこれほどの非道を続けられるのだろうか。そして彼らの乗った強欲な列車は、いつ彼ら自身の犯したばかな間違いの重みに耐えられなくなりつぶれるのだろうか。だが、そうだとしても、連邦政府は即刻彼らの救済に乗り出すことだろう。そして、製薬会社や保険会社を含むアメリカ医療保険システムという冗談がある。彼らは、毎年何十万人もの人々を殺し、彼らのおかげで障害をおった人々の屍から金を盗み取っている。しかし、この国の指導者は、(金融業者のような)自分たちの金持ちの仲間を救済するが、(われわれのような普通に働く人々を)気にかけることもない。そして議会の政治家ども(盗っ人、嘘つき、自己中心的なゴミども)は、医療保険の問題がいかにひどいか、それこそ何年も何年も議会で討論しているだけなのである。彼らにとって、企業の利益が流れ込む邪魔を死人がしない限り、なんの危機も感じないのである。そして正義だと?冗談もやめてくれ!また、アメリカの税のシステムや法体系に潜む巨大ななぞをどうやったら合理的な人間が説明できるのか?現在のシステムはあまりに複雑で、最高の学者でも理解することができないはずだ。しかし、すべての人が専門家にも理解できない法を順守すべきだとし、無慈悲にも被害者に責任を負わせるのだ。税の申告書の最後に署名をしなければならないが、自分が何に署名しているのか分かっている人はほとんどないはずだ。税の徴収ほど強制力のあるものはない。これこそ全体主義以外のなにものでもない」この後、自分の生い立ちやエンジニアとしての職歴を詳しく述べた後、自分たちのような中産階級の一般市民がいかに内国歳入庁や大企業、そして政治家に収奪されているのか詳しく説明し、アメリカ人の覚醒を強く促す宣言を行う。「私は大恐慌のとき、裕福な銀行家が全財産をすってしまったことを知り、ビルの窓から飛び降り自殺をした話を思い出した。しかし60年後、金融業者はこの問題の解決策を見いだしたのだ。それは政治的に何の発言権もたない中産階級から彼らの資産を盗み、自分たちの損失を埋め合わせることだった。要するに、金持ちが犯した間違いの尻拭いをすべて貧乏人にさせるというわけだ。アメリカ連邦航空局は墓石(無用の長物)のような機関であるといわれる。だが、ブッシュ前大統領と彼の率いる一味が支配した8年間で、すべての政府機関が墓石のような状態になっている。死者が出ない限り、なにも変わることなどないのだ。政府組織は下から上まで偽善で満たされており、彼らは自分たちがつくウソと同じくらいに安っぽい存在に成り下がった。堪忍袋の尾が切れたのは私が最初ではない。人々は自由のためには自らの命は捧げなくなったといわれるがそれはそうではない。黒人や貧乏な白人以外でも命を捧げる人間はいるのだ。私の前にはそうしや人々が大勢いたことだろうし、私の後に続く人々もきっと多いことだろう。しかし、私の命を捧げることなくして、現状はなにも変わらないことだけは確かである。私は、政府が私の人生を引きちぎるのをただ眺めていることを止めると決意したのだ。また、私の周囲で起こっていることを無視しないと決意したのだ。そして、かならず大きな変革が起こるなどという幻想は信じないことにしたのだ。もうたくさんだ。いまゾンビーのような状態になっている多くのアメリカ人が覚醒して反乱を起こし、その数が当局が無視できないほど大きくなることを私は期待する。私のこの行動が二枚舌の当局を刺激し、彼らがより厳しい規制を加えることで、傲慢な政治家の実態が暴かれることを真に望む。私はこれまでの人生で、暴力は何の解決にもならないと信じようとしてきた。しかし、暴力こそ唯一の解決策なのだ。この国を支配するトップエリートはこのことをずっと知っており、これまで私のようなバカを騙し続けてきたのだ。一度、精神錯乱の定義を読んだことがある。それは、同じ行動を何度も繰り返しながらも、結果が異なることを望むことだとあった。私はやっとこうした錯乱状態に終止符を打つ決心をした。当局や内国歳入庁のみなさん、私の肉の塊を受け取り、よく眠ってください。共産主義者の信条:各人の能力に応じて献身し、各人の必要に応じて与えよ。資本主義者の信条:各人の騙されやすさに応じて献身し、各人の貪欲に応じて与えよ。ジョー・スタック(1956年~2010年)」以上である。いまアメリカでは、一方では、多くの人々が失職したあげくに住宅を差し押さえられるという大変な苦難を経験しながらも、他方では、ゴールドマンサックスやAIGなど、政府が巨額の税金で救済した金融機関が巨額な利益を上げ、管理職が途方もない額のボーナスを得るという状況が続いている。「ジョセフ・スタックの自殺宣言」は、こうした状況に憤った多くの一般のアメリカ人の怒りを代弁した内容になっている。
via sannka.xsrv.jp