2010年11月17日水曜日

ソニーに会社を買われた日

就職超氷河期と囁かれ始めた時代に、それなりの大学の商学部に入ったのは7年前の話。

苦労して勉強して入った大学生活を楽しまなきゃ損だ、と思ってサークルに入ってみた。

王道のサッカーサークル。

練習そこそこで、四季に合わせたイベント・合宿、そして毎週開かれる飲み会。

バイトした金をそのまま飲み干す高田馬場。

楽しかった毎日でした、と思い返せればいいんだけど、あの時期の大学生でそんなこと思える奴っていないと思う。

早稲田でも、慶応でも、東大でも。

大卒内定率が40パーセントを下回るってのが定着し始めて、

大学生って人生のモラトリアムじゃなくて、

将来が不明確なのを4年間も強制されたショクギョウになってしまったんだよね。

就職が決まらない、って先輩たちがサークルにはごろごろいて、

これが数年後の我が身かと見せつけられれば、ほんとに怖くなる。

就職出来るだけで運よくて、もし仮に大企業だったらそりゃもう神様扱い。

ウチのエースはアジア人、なんてタイトルの日経ビジネスが2010年にあったらしいけど、

今じゃエースだけじゃない。

普通の兵隊もアジア人。

日本の会社は売上の海外比率が75パーセントなんてざらだし、

むしろ海外に出て行けなかったトコは潰れたり買われたり。

そんな会社が新卒で取るにはオレらのはずなくて、

もう中国人、中国人、タイにフィリピンにインドネシア、そして中国人。

大企業ほどね。

ほんとうに将来が見えなくて怖かった。

ドンキホーテで修行を積んて独立した北京大学出身の人が成功して、

30歳にして中国の若き流通王とか呼ばれたりして、

「アリガトーニホン。ダイスキニホン。」

ってテレビで言ってたっけ。


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だから、オレ起業した。

このまま日本人向けに用意された新卒枠を競い合っても仕方ないと思ったから。

3人に1人しか生き残れない勝負するなんて、バカじゃん。

すごくバカらしい。わざわざ殺されに行くなんて。

3年生の1年間でインターンって名前の丁稚奉公して、4年生で勝負かけた。

とにかく先輩たちと同じにはなりたくないから、仲間見つけて、考えて、売り出したのは10インチのモニタ。

これが3年間で100万台も売れて、たぶん来年もきっと売れるけど、再来年は類似品でわかんね。

モニタに少しのストレージとネットワーク機能つけて、Dropboxでファイル同期出来るようにしただけなのに、

これが飛ぶように売れちゃった。

LOFTのクリスマスプレゼント特集で火がついて、贈り合いっこでカップルにつき2台づつ。

次いで海外出稼ぎお父さんが子供たちと、ってことで一家に3台。

同じく日本に就職してきた人たちにも大ブレイクで、一族10台まとめ買い。

製造は全部海外。

自前の工場を持つなんてお金かかりすぎるから、台湾の会社に委託製造。

基本設計書だけ持ち込んだら、ベトナムの組み立て工場まで紹介してくれた。

初回は1000台、4ヶ月後に1万台、半年後には5万台、ついで四半期ごとに10万台。

販売のメインはネットショップだし、

営業先は大手数社だけだし、

本社では企画と交渉だけだから社員はわずか10人。

そのかわりメンバーにこだわった。

設計は東大工学部のフィリピン人ドクターを口説きおとして始めは学生と兼業してもらって、

交渉は来日3年目の中国人にサポートしてもらった。

なにより大きかったのは、パナソニック早期退職して副社長やってくれた伯父さん。

やっぱ経験つんだおじさんって強い。

そんなこんなで急激成長して年商30億のベンチャー社長にオレはなりました。

なんでこんな簡単なモノが売り出せなかったんだろうね、日本のメーカーって。

オレらは工場も持たないし、研究開発もしてないし、ほんとにアイデアを素早く形にしただけ。

いまとなってはわかるけど、簡単だからこそ出来なかったんだろうね、日本のメーカーって。


次のアイデアが出てこなかったから、ソニーから買収の話が来たときには喜んで握手。

25歳で年齢×億以上の資産出来たのは、人生上手く行き過ぎかもしれない(笑)

それもこれも、就職超氷河期ってことで反面教師となる先輩を紹介してくれた日本社会のおかげ。

「アリガトーニホン。ダイスキニホン。」

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フィリピン人の彼は母国に帰って、豪邸買って自分の会社作るってさ。

華僑の彼は中国本土のMBAに通って、一族の本拠地がある香港で家業につくとな。一族の同世代の出世頭らしい。

一番驚いたのは、サムスンにヘッドハンティングされた伯父さん。新規事業部門に一本釣り。相当の契約金だったらしいけど、額は教えてくれなかった。

そして会社がソニーに買われた今日、オレはこれからシンガポールに移住する。

バカ高い年金も医療費もまっぴらごめん。

でも一番嫌なのは、先が見えないこと。

バイバイニッポン。

たまに美味しいものでも食べにくるよ。

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みたいな2020年の妄想をした。

こんな時代が来るのは確実。

どう生き残ればいいのだ20代男子。

「魂が身体に宿るのではない。身体が魂に包まれるのだ。」(ニール・ドナルド・ウォルシュ)

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