2010年10月1日金曜日

升田幸三

 日本将棋連盟は終戦後GHQに呼び出されました。
 当時升田幸三は将棋界の関西本部長代理という肩書きで、それほど力は持っていませんでしたが、将棋連盟の代表には升田が選ばれました。
 その知識・頭の回転の速さ・度胸・そして将棋の強さ。どれをとっても升田にかなう人間はいなかったからです。
 GHQの呼び出し理由はこうです。
 「日本の将棋はチェスと違って、取った駒を自軍の兵士として使用する。これは捕虜の虐待思想につながり、国際条約に違反する。将棋は日本の捕虜虐待に通じる思想だ」
 と言いがかりをつけました。 
 升田幸三は至って平然として、出されたビールを飲みました。
 「なんだコレ。マズいビールだな!」といきなり大きな声を出したので、GHQはビックリして升田を見ました。
 「それならナポレオンがあるがどうする?」
 升田はまだ洋酒というものを知らず、当然ナポレオンが最高級酒であることも知らない。
 「ナポレオンみたいな冬が来たら負けるよな酒はいらん」
 GHQは困った顔をしましたが、さらに升田節は続きました。
 「チェスでは取った駒を殺すんだろ?それこそ捕虜の虐待だ。日本の将棋は敵の駒を殺さないで、それぞれに働き場所を与えている。常に駒が生きていて、それぞれの能力を尊重しようとする正しい思想である」
 GHQは升田の毒気に押されて苦笑するばかりです。
 「アメリカ人はしきりに民主主義・男女同権を訴えるが、チェスは王様が危なくなると女王(クイーン)まで盾にして逃げようとするが、あれはどういう事だ?」
 ここまで来るともうGHQも何も言えません。しだいにGHQも升田の話に興味持ち出して、こういう問答が5,6時間続きました。
 そして最後に 「君は実に面白い日本人だ。土産にウイスキーを持っていけ」 と最後には升田に敬意をしめしました。

「魂が身体に宿るのではない。身体が魂に包まれるのだ。」(ニール・ドナルド・ウォルシュ)

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