2011年5月27日金曜日

ジョブズ氏が言う「つまらないものは捨てろ」の意味  :日本経済新聞

3月2日、米サンフランシスコで「iPad2」を発表するアップルのジョブズCEO=AP

 米アップルはこのほど米グーグルを抜き、世界で最も価値の高いブランドとなった。世界最高のブランドの製品群を全部並べても、小さなテーブルの上に収まってしまうというのは驚きである。もちろん、アップルがこれほど成功している理由の1つはそこにある――少数の、シンプルで優雅な製品を生み出すことに徹底的にこだわるのだ。

 私は拙著『スティーブ・ジョブズ、イノベーションの秘密』(原題The Innovation Secrets of Steve Jobs、邦訳未刊行)の準備段階で、スティーブ・ジョブズ氏と彼が共同創業者として設立したアップルが、どうやってこれほどの成功を収めたかを多少なりとも理解するのに役立ちそうなエピソードに遭遇した。提供者はナイキのマーク・パーカー最高経営責任者(CEO)である。パーカー氏はCEO就任直後にジョブズ氏と電話で話したという。

 「何かアドバイスはありますか」と尋ねたパーカー氏に、ジョブズ氏は「1つだけある」と答えた。「ナイキには世界最高の製品がいくつかある。だれもが絶対欲しいと思うような製品だ。その一方で、つまらない製品もたくさん作っている。つまらないモノは捨てて、優れた製品に集中するんだ」。そこでジョブズ氏はひと呼吸おき、パーカー氏は静かに笑った。だがジョブズ氏は笑わなかった。真剣そのものだった。「彼は完全に正しかった」とパーカー氏は振り返る。「ナイキには“編集”が必要だった」。

 ここでパーカー氏の言う“編集”とは、製品デザインに関するものではなく、事業の意思決定に関わるものだ。それは優れた製品デザインや効果的なコミュニケーションにもつながる。ジョブズ氏によると「“集中する”というのは、集中すべきものに『イエス』と言うことだと誰もが思っている。だが本当はまったく違う。それは、それ以外のたくさんの優れたアイデアに『ノー』と言うことだ。選択は慎重にしなければならない。私は、自分がやってきたことと同じぐらい、やらなかったことに誇りを持っている。イノベーションというのは、1000の可能性に『ノー』ということだ」

「魂が身体に宿るのではない。身体が魂に包まれるのだ。」(ニール・ドナルド・ウォルシュ)

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